1.基本方針
本県の内水面を取り巻く現状は、平成9年まですすめられた護岸整備や、直線化で、魚族の生息場所として好ましくない河川も多く、生物多様性に対応できうる川つくりが切望されている。近年、宮崎県では河川に係る工事において環境に配慮した工法や施工が行われるようになった。一部河川では砂礫の持ち出しや大きな石の川床への再投入など魚族の生息環境の改善に向けた対応がなされている。また、カワウやバス等の食害、ダムによる長期濁水など水産動植物への影響も懸念されている。これらの問題に国・県・関係機関と協議しながら連合会として取り組む。他方で県民のレクリエーションの場として多くの人々に提供できるよう安心・安全な川つくりを目標とする。新たに内水面漁業振興法に基づく協議会の設置を要請し、具体的な各種進行対策について、次の3項目を推進する。
1)水産資源の維持・増殖管理、多面的機能の発揮と秩序の維持
イ 効果的な資源の増殖を図るため、生物多様性に配慮した各種魚介類の優良種苗を適期に放流する。また、親ウナギについては半年間の採捕規制を継続し、アユ資源の管理方法について関係団体等と協議しながら資源の再生、復活の道を探る。
ロ アユ等の産卵場造成や井堰等の魚道機能向上のため簡易な改修や河床露出への対応、汲み上げ方式により遡上を促進する。また、河川・湖沼の生態系に重大な影響を及ぼす恐れがある外来魚やカワウの被害防止対策、魚病の感染防止や監視対策を推進する。
ハ 多くの人々に、体験学習、釣り教室や河川清掃などのイベントを通じて資源の保護や河川の有効利用について普及啓発する。また内水面の多面的な役割や機能向上についての認識の共有化を図る。
2) 多自然型川づくりと河川の環境保全、再生の推進(流域圏団体等との連携強化)
イ 河川の自然環境の保全を図るため、関係機関と連携し、生物資源維持流量の適正化や自然に優しい川つくり、生物の多様性に富んだ川つくりを推進する。
ロ 林道・作業道、山林伐採等による河川に係わる工事による環境負荷の軽減を目ざし、関係機関と協議していく。
ハ ダム濁水長期化の軽減や河川維持流量の適正化について、ダム管理者と協議していく。また、森林の荒廃による河川環境への影響は大きく、国、県をはじめとする森林管理者・地域団体と密接に連携を取りながら森林の保全、再生に向け協議していく。
3)漁協の組織力向上、経営基盤強化の推進
漁業権の内容に基づいて内水面漁協のあり方を協議し円滑な事業運営を推進するとともに、漁協の組織力向上、新たな財源の確保への取り組みによる豊かな川つくりを推進する。