1月29日、宮崎市のシーガイアセンターサミットにおいて、「宮崎県自然豊かな水辺の工法研究会」の本年度第4回目の研修会が開催されました。県の河川課とNPO法人「大淀川流域ネットワーク」(杉尾 哲代表)の共催で実施されており、河川に関する行政や関係企業の土木技術者を対象に「生物に優しい多自然型川づくり」を目指しての勉強会です。
1つは、宮崎大学教育文化学部 生物生態学研究室の岩本俊孝教授が「河川敷での環境変化によって哺乳動物の行動に与える影響について」を報告された。河川敷を水辺があり草原や藪、樹木などがある多様性の高いホットスポットとしてとらえ、植生の変化とタヌキ、イタチ、ウサギ等の小型動物の動きをシュミレーション化し予測することを試みた。工事や洪水による河川敷の変化の及ぼす影響が非常に大きいことを示唆されている。
2つ目は、徳島大学総合科学部 社会創生学科の浜野龍夫教授が「水辺の小わざ」と題して、アユ、ウナギ、エビ、カニ等を中心に流域全体の生態系を豊かにするための方策を、山口県や全国の事例を紹介しながら、小規模で安価で効率的な井堰や魚道の改善策を提案されました。
水辺の工法
宮崎県内でも高岡土木事務所の指導、支援を受けて大淀川支流の浦之名川や綾北川の水窪堰でも「水辺の小わざ」を活用した事業がすすめられております。魚たちが跳ね飛びながら遡上していく姿が目に浮かびます。
約180名余の皆さんが参加され、終了後のレポート作成にも頑張っておられました。 昨日は県北地域(延岡市)でも開催されており、より多くの人が河川の環境や生物の生態系保全、自然界の多様性確保のためにますます汗を流していただければ幸いです。
杉尾先生挨拶、河川課の法元主査の進行で 浜野先生、安価で魚に優しい「水辺の小わざ」を紹介
去る1月25日(金)、県水産試験場(山田卓郎場長)のH24年度研究成果発表会が県水産会館で開催されました。 持続可能で儲かる水産業を目指して、漁業者や業界のニーズに対応した様々な研究課題を設定し、数年あるいは永年にわたるその成果を一年に一回発表するものです。 約130名余の聴衆を前に、若手からベテラン4人の熱のこもった成果発表会でした。
内水面では、「新たな産業の創出!!日本一のチョウザメ産地を目指して」と題し、小林分場の山田技師が発表しました。 種苗の量産化技術開発を図る中で、卵粘膜の処理方法を改良することで孵化率のアップがみられており、合せて早期の雌雄判別法の改良やシベリア、ロシア、シロチョウザメ等種による成長差、特性などを把握するなど、最良の養殖技術開発を目指しています。
地域特産の養殖魚種として民間業者の参入も増えつつあり、10数名の方が組織化などを含めて取り組んでおられます。 近い将来、宮崎の特産のキャビアやカルパッチョ等のチョウザメ料理がフルコースで皆さんの食卓に並ぶことを期待しています。
その他、日向灘産イワシ、アジ、サバの資源変動の解析、シイラの鮮度保持マニュアルの作成に向けての成果、海のミルク「イワガキ」の種苗生産技術の開発等にも挑戦しています。
水試発表会1 水試発表会2
H24年度の海産稚アユの需給調整会議(長瀬一己県内水面漁連会長)が、1月16日、延岡市の県東臼杵振興局で開催されました。
例年2月上旬から始まる「海産稚アユ特別採捕許可」にあたって、今年の採捕数量や許可期間等を協議する場であります。
海面の採捕漁協、養鮎組合、内水面漁協、県北増殖協会(事務局は延岡市水産課)の関係者20名余が参集し、それぞれの立場から今年の状況を含めて協議されました。県からも漁業・資源管理室から日向寺室長、赤嶺主幹、清水副主幹他も出席いただき報告や指導を受けました。
増殖協会が実施した11月から12月の流下仔魚数結果でも12月上旬がピークとなっており、5年間の傾向でも産卵時期が遅れている傾向があるそうです。
土々呂湾での稚魚のサイズ等の確認状況や友釣りや瀬掛け漁の釣果等も含めて、アユ資源の減少が著しいことや河川環境の悪化等が併せて報告されました。
限りある資源を有効に活用し共存共栄の方向を確認して、最終的に例年どおりの2月1日~3月11日まで、数量は2,000kgとすることで決議されました。
この結果を受けて、県水産政策課の漁業・資源管理室で早急に本年度の方針が出される予定です。 資源保護と地域産業の振興がバランスよく図られることを期待します。
長瀬一己県内漁連会長挨拶 日向寺二郎漁業資源管理室長挨拶
去る11月14日、延岡市の北川でアユの産卵場調査が実施されました。 「アユを育てる川仕事」他の著者であり、全国の河川調査やアユの生態等に詳しい専門家の高橋勇夫さんを招いて北川漁協(長瀬一己組合長、組合員435人)が行ったものです。
高橋さんから全国5本の指に入る清流のお墨付きを貰った北川は、日頃の漁協活動の中で種苗放流事業は勿論、禁漁区や禁漁期間、漁具漁法の制限、産卵場の造成、親魚や発眼卵の放流も実施しています。 また、河川を「癒しの場」として、釣り大会や掴み取り大会、川石をひっくり返して掃除をするマイストーン作戦など様々なイベントを開いて、多くの人々に楽しんでもらっています。
併せて、北川の清流を維持するため「水源の森を守ろうかい」活動を続けており、「植えない森づくり」として人が手を入れない自然のままの雑木林が10数年余で約450haほどになっています。 この様な実践活動が今回の栄誉ある評価になっていると思います。 漁協の皆さん、地域の皆さん、有難うございます。
夕刊デーリィー切抜きをどうぞ 北川産卵場トップ
去る11月19日、西都市一ツ瀬川水系の三財川で一ツ瀬川漁協(田中寛組合長、組合員544名)が、延岡市の養殖業者「アユの渡辺」(渡辺節子代表)さんの協力を受け、アユ親魚300kgと受精卵約20万粒の放流を実施しました。
先月10月の21日、28日の2回、清水橋下流において重機を入れ産卵場を造成しました。固まった河底の天地返しをすることで底質を柔らかくし、その後、人海戦術により鋤鍬等で河底を均してアユが産卵しやすい様に造成しています。
11月中旬には、西日本技術開発(株)の協力で産卵調査を実施、付着卵も多く見られたとのことです。
参加した漁協役員の皆さんも人工授精の作業(後藤慎治場長)を見るのは初めての様でもあり、生命の神秘に触れながら将来の子供達に素晴らしい河川を引き継いでいくことの重要性を熱く語っていました。
当漁協としては、アユ資源を増やすための初めての試みでもあり、禁漁区の設定等も併せて春先の稚魚の放流事業にプラスしての総合効果が期待されます。 この様な活動は県北の北川水系でも 4、5年前から実施されており、大きな成果が出ています。
宮日新聞切抜きをどうぞ 三財川産卵床
清水橋下流の産卵場造成地 護岸工事用杭から右側上流に向け天地返し
瀬の上流側「渕」 と清水橋 瀬を下流側から見たところ
食み跡もいたる所で見られます 禁漁区看板も4箇所に設置
初めての取組みであり作業前の紹介と説明を
簡易テントの下で 後藤場長の見事な人工受精士ぶり 一腹から約2万粒を
小砂利表面の汚れを落とし均して 田中組合長の受精卵放流作業が サランラップでお椀に蓋をし、底まで沈めて水に浸すことで受精し石に付着します・・
親魚の放流後の動きを見るために一部予備放流を・・・ 上流の渕に向け遡上する群が多い様子・・・・
親魚は造成産卵場より下流の瀬付近に変更 (鳥子橋下流の天然の瀬に)
約300kgの「黄金アユ」でした 来年が楽しみに 乞うご期待を・・・・ 今後の密漁対策も十分に作戦を練りました。 皆さん お疲れ様でした。
去る11月7日、佐土原町の石崎川で広瀬小5年生(4学級133名)を対象に、河川をきれいにする為の学習とウナギやフナの体験放流が実施されました。ゴミ不法投棄のチラシも配付して、情報ネットワークの必要性もPRされました。
石崎川環境保全対策連絡協議会(日高会長)と新佐漁協(仲原稔組合長)他の協働で、ウナギ幼魚約50kgとフナ稚魚約1,500尾を放流しました。勿論、ウナギを触るのが初めての子供達も大勢いました。
「何でヌルヌルなの?」、「歯はあるの?かまないの?」、「細長いのはどうして?」、奇問、珍問が目白押しでした。 何処で産卵されているかを知っている子もおり、さすが高学年ともなるとたいしたもんだ。 大正解!マリアナ海溝だって!
事前の説明と 質問を・・ 先生の声も次第に大きくなりますね!
ウナギは 40gと100gサイズでした なかなか触れない子も・・・・
元気で大きくなってね・・ 握り締めて離さない子も・・・ 最後はグッタリ状態で
ウサギ追いし かの山 小鮒釣りし かの川 約5gのサイズで
先頭リーダーの号令よろしく 前ー進め! 見事な隊列に 応援の声が届きましたね・・・
代表者2名のお礼 総勢、約160名余の皆さん、お疲れ様でした。
宮日新聞切抜きをどうぞ 石崎川浄化体験
10月の下旬に入って大淀川、一ツ瀬川、耳川他で恒例のアユ産卵場の造成作業が開始されています。 10月23日、耳川漁協(都甲哲郎組合長、組合員333名)は、九州電力の支援を受けてダムの堆積土砂からアユの産卵場に適した小砂利を選別して活用しております。新たな試みとして昨年度から実施しており、低下した河床の改善、生態系、水域の環境保全等に大きな効果が期待されています。
詳細は 宮日新聞切抜きをどうぞ 耳川アユ産卵場 10月9日の宮日新聞 「窓の欄」 日向市の筌瀬幹夫さん、 清流耳川への熱き想いが綴られておりました。 清流耳川窓の欄
また、10月24日、大淀川水系の高岡川漁協(宮田組合長、組合員411名)では、花見橋の下流1,000mの禁漁区域において役職員8名が参加して産卵場を造成しました。
まず、重機で50~60cm程度を深堀り、天地返しをした後に、人海戦術で大石を除いて鋤、鍬で子砂利をならして均一にし、 アユ好みの「産床」 を完成しました。作業途中に早くも「ピッーピッ」とお急ぎのアユがはねるのが見られました。
花見橋下流の禁漁区 例年の造成場所 干上がった陸域にも鮎の食み跡
コケ部分も泥状化・・・ 食み跡は いたる所で確認
重機が入り、50~60cm程 河床の天地返しを
人海戦術で底の均一化を
天地返し前;表面にシルト状の泥が 後;見違えるように ツヤツヤ
うっとりする様な せせらぎが 完成、いつでもどうぞ!!
今後も 北川や五ヶ瀬川水系で始まります。来年の大漁を祈願しながら・・・・
10月26日、綾町自然環境基礎調査研究会と南九州水圏環境生物研究所(岩田一夫代表)、県水産試験場、内水面振興センターによる河川調査が行われました。 上流の川中キャンプ場から下流は三本松橋、頭首工までの5地点を選定し、水生生物を採集しました。
カワムツ、オイカワ、ウグイ、カマツカ、ヨシノボリ類、ドンコ、ウナギなどの常連魚種の他に、支流の牛喰谷川ではモツゴ(県RDB準絶滅危惧種)やビワヒガイ(琵琶湖産由来か?)などの珍種も採集されました。
その他では、やはり牛喰谷川で環境省RDB準絶滅危惧種のニセマツカサガイや県RDBの準絶滅危惧種、コガタノゲンゴロウも採集、貝類ではカワニナ、マシジミ、タニシ、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)も多く見られました。
綾町の「エコパーク」指定の一環としての調査であり、来年度は綾北川の対象に調査予定とのことです。
上流の川中キャンプ場
綾南取水堰
上畑頭首工 セル瓶に替わる新型篭です 成果は・・・?
カマツカ、ナマズ(準危惧)、ギンブナ、カワムツ、ドンコ、テナガエビ他
支流牛喰谷川で 投網を駆使して 珍種が?・・ザック ざく と
モツゴ、ビワヒガイが 貝類ではニセマツカサガイ、マシジミ、ヒメタニシ、 あのジャンボタニシ・・・も
橋下には高さ1m強の井堰が・・・上流も興味シンしん
宮日新聞と宮崎県(後援)とが進めている「エコニコみやざき」キャンペーン実行委員会のイベントで、五ヶ瀬川漁協(柳田昌徳組合長、組合員279名)が9月7日に実施したウナギ稚魚体験放流、河川清掃活動が宮日新聞で紹介されました。
国土交通省が行った全国水質ランキングで見事第一位になった五ヶ瀬川の清流を、今回は延岡市の南方小6年生139名の皆さんと共に体感していただきました。 自分たちの日常生活と「川」との切っても切れない密接な関係を子供達も受け取ってくれたことでしょう。
宮日切抜きをどうぞ 五ヶ瀬体験放流 五ヶ瀬体験放流ー2 アーカイブスー 2012,8,6
去る9月19日、宮崎市の「ひまわり荘」で平成24年度の漁協役職員等研修会を開催しました。 毎年、(社)日本水産資源保護協会の補助を受けて実施しており、漁協関係以外にも土木事務所、農林振興局、ダム関係企業等の皆さんにも幅広く参加(今年は約120名余)いただいております。
講師は、高知県香南市の高橋勇夫先生(たかはし河川生物調査事務所代表)で、アユの基礎研究をベースに全国の河川で潜水調査などを実施され、漁協等と天然アユを増やす活動を進めており、アユに関する著書も多数出版されておられます。
アユ資源を再生させるため、天然アユを増やすための様々な事例の中で、産卵場の造成や魚道の機能向上のための小技等々、また内水面漁業の将来、漁協のあり方まで幅広いご報告がありました。
アユを「河川環境の自然循環バロメーター」として生態系サービスを維持して行く、守っていくこと、アユのもたらす経済効果など等、「アユを育てる川仕事」の紹介でした。
会場一杯の参加者で熱気ムンムン 長瀬会長の挨拶
アユを育てる川仕事の事例を紹介される高橋勇夫先生
放流主体の増殖効果やダムからの長期汚濁水対策等について熱心な質疑が
講演内容等については、今年度の2月頃までを目途に印刷製本して皆さんにもご紹介をする予定です。